新企画、桐井社長の対談シリーズ第1弾は、
クリーニングのきりいのホームページリニューアルを担当した
株式会社サンエルの代表取締役社長 辻橋 英延氏との対談です。

コロナ禍で今までの経験が通用しない。
次の打つ手が見えてこない。
そんな最中に
「お二人はいい関係を築けると思います」と紹介された出会いが始まり。
「きりい挑戦プロジェクト」とチーム名を決め、
長期の制作期間を経て2021年8月にホームページをリニューアル公開しました。

それから半年が過ぎ、
今年も新たな挑戦を続けていく「きいり挑戦プロジェクト」の新企画として、
社長対談が実現しました。

成功したことへの未練がなく、次へ行けるのって、なんで?
なんでこの事業をやろうと思ったの?
楽しいって、なんだと思います?
過去の経験と思いをたどりながら、互いの今を紐解く全5回の連載です。

株式会社サンエル 代表取締役社長
辻橋英延

三重県松阪市出身。
大学在学中に父が倒れたため、大学を中退し就職。
2008年、株式会社リクルート入社。
中小企業のコンサルティングを行いながら、
数々の企業の独立支援を行う。
その経験を基に2010年4月より
株式会社サンエルを地元三重にて立ち上げる。
その後サンエルにて
地域企業のDX化、地域のIT人材の育成を中心に活動中。
2018年から地域のこどもたちにもプログラミング教育を、
との思いから【サンエルキッズラボ】を立ち上げ
こどもたちへの教育事業にも挑戦中。

対談会場はサンエルキッズラボ教室

謝礼が0なら、やりますよ

桐井
僕は昔、二つ、「僕がつくった」っていうのがありまして。
まず一つは、ピュア洗いっていうもので。
25年ぐらい前になるんですけど。
その当時、日本に
シリコン溶剤で洗うドライクリーニングっていうのは全くなくて。
「新しいクリーニングがある」というのを聞いて、アメリカか、ということで、
今はないですけど、SANYOというメーカーを口説いて、
シリコンを使ったドライクリーニングを作ろうと。

それで同時開発が始まりまして、僕、ラスベガスまで行ったんです。
ロサンゼルスまで行って、現地のクリーニング屋さんが、
その溶剤を使って洗っている姿を見せてもらって、
とにかく人体に対して安全、人畜無害、いいじゃないの。みたいなね。

環境に取り組むクリーニングっていうのを、とにかくやりたかった
いわゆるせっけん系のドライクリーニングっていうのは、有機溶剤ではないんですよ。
それで乾燥不十分なんかになると、皮膚が荒れたりするんですよ。
そういうリスクは常に抱えているものですから、
皮膚に優しい、子どもにも安全、こういうドライクリーニングを世に出したい。
しかし、僕だけやるって言ってもメーカーは動かんので。

辻橋
ゼロから作るってことですもんね。

桐井
ゼロからです。それでSANYOさんを口説いて、
作ろう、これを日本に広めようぜっていうんで、僕も同時に入らしていただいて。
プログラムの組み方から、洗剤までソープメーカーと共同開発して作って、世に出したんです。

辻橋
ゼロから世に出すまでって、結構かかりますよね。

桐井
情熱があったね。情熱があった。
それは僕にとって本当に楽しい時期で、
新しいことをするんが本当に楽しい時期で。

辻橋
それは社長から、よく感じますけど。
今だって、ウェブプロモーションって普通…ホームページもそうですけど、
今までの業界から考えられないことに挑戦するっていうの、結構難しいんですよね。

桐井
それで一応、このドライクリーニングは世に広まりまして、よかったなと。

次に手がけたのが、無人お預け機を作ろうじゃないかということになって、
これも自動販売機の会社と一緒に作って世に出したんですけど。

この二つのことを世に出したときに、僕、
全国、あっちやこっちでセミナーやらされたんですよ。

辻橋
やらされたというか、やれって言われますよね。

桐井
やる条件っていうのが一つあって。
謝礼金がゼロならやると。

辻橋
何となくそうかなと思いましたが、本気でそれやられたんですね。

桐井
謝礼金はゼロならやる。ご飯だけ食べさして。みたいな。

辻橋
普通、その体験あったら、セミナーで食ってこうって考える人、
今でも世の中多いわけですよ。
そこが私、聞きたいところで。
今日お聞きしたいこと、いくつか持ってきたんですけど。
桐井社長のマインドに、今の話、通じると思うんですよ。
「謝礼金ゼロやったらやるよ」っていうの、なかなか言える人少ないと思うんです。
その辺も深掘りでお聞きしたいんですよ。

私も経営者として、大先輩の社長に対してお聞きしたいなと思った、
社長のそのマインド、どういった経営理念でやられてるのかに、
さっきの話、すごい通じると思うんですよ。

桐井
僕はどっちかっていうと、一人勝ちはできないって思ってるんです。
うちが良くなろうと思えば、
この業界全部が良くならないと、うちも良くなれない
そうすると、この業界のパイ広げることが、
うちにとって一番いいことなんじゃないかっていうのは、僕の根っこですね。

未練もなく次のやり方へいける、その身軽さって、なんですか?

桐井
社長とお会いして、今、楽しくやらさしてもらってますけど、
1年半あまり前の10月(2020年10月)ぐらいでしたよね。
ある方に、
「この2人は絶対合うよ」っていうお墨付きをいただいて、
ご紹介していただいたのがきっかけで。

僕はその当時、その方に相談をしてたんです。
先が見えない。今までやった感覚とか
データっていうのがいっさい通用しなくなってる、非常にきつい。
その話をしたら、
桐井さん、松阪に、元リクルートの辻橋さんっていう方がみえて、
この方マーケティング非常に得意で、非常に頭がクレバーな人だと。
この人と一回会ってみるっていう話になって、初めてお会いしたじゃないですか、

辻橋
覚えてます。

桐井
その日からお互い、「おう!」という感じじゃないですか。

辻橋
私も、「この人から学ばしていただきたい」と感じています。

辻橋
私、今40代で、経営して10年なんですけど、
どういうふうな自分になっていきたいかというプランニングを考えるわけですよ。
そうなったときに私、多分、
桐井さんほど成功パターンをつくってったら、
そこから抜けれなくなるな
と思っていて。

桐井
それは面白い発言で。成功の何ですって?成功パターン?

辻橋
はい。成功パターンをつくってしまうと、
そこから抜けれなくなるんじゃないかなというのがあって。
桐井さんは今まで、ここまで店舗を経営されて、
この松阪でクリーニングのきりいといったら、とてもブランド力もある中で、
ここまでの仕組みをつくっていらっしゃる人が、
なぜ「これあかんわ」って、ふっと、何の未練もなく、
次のやり方へいける、その身軽さというか、そこってすごい
ことだよなと思って。

私ももちろん、マーケティングとかいろんなもので貢献はさせていただくんですけど、
やっぱり経営者として、どういう変遷をたどったのか…
もともとの性格の可能性もあるんですけど、どういうふうな理念で、どう来られると…?

桐井
答えは簡単やね。
それは非常に簡単で、辻橋社長、若いじゃないですか。
僕より20ぐらい若いんでしょ。

辻橋
そうですね。私、79年生まれの42歳なので。

桐井
20年じゃないですか。

辻橋
ちょうど20年ぐらいですね。

桐井
辻橋社長は、失敗したカードが少ないんですよ。
僕は失敗した数が多くて。

失敗することはいいんですよ。
失敗したことは、しなければいいわけで。
残ったのが、よし。ってなるわけでしょ。

だから僕の人生は家康みたいなもんですよ。
戦するたびに、負けっぱなしが家康じゃないですか。
あの人、勝ったんは関ヶ原だけじゃないですか、ほとんど。

辻橋
武田には、ぼこられ、敗走に敗走ですからね。

桐井
伊賀越えもしましたし。
だから負ける人間は最後、いいものを手にできるんと違います

辻橋
あー…

「やらんよりまし」は、やらんほうがまし。

桐井
この前、僕、ブログに書いたのですが、
イチローが面白いこと言いましたよ。
今、高校をいろいろ回ってるじゃないですか。
あれ、どこだった?東京の有名な進学校。
偏差値も高い学校。国学院久我山や。違いました?

辻橋
そうですね。

桐井
そこの臨時コーチを2日間行ったら、他の高校とは違う。
「さすがに頭のいい、賢い子が多い。練習に無駄がない。
進学校やから3時間しか練習しないっていうことを続けてる。
3時間の中でできることは何なんですかいうことを、
生徒が分かってる。すごいですね。」
「しかしね」監督に言ったんですよ。
これってあまりにも合理化され過ぎて、
失敗がないですよね、この子たちは
」って。
失敗する、いわゆる
無駄の中から合理性っていうのを発見するっていうこと、大事じゃないですか。
だから無駄の積み重ねっていうのは大事だと思いますよって、イチローが言うた。
僕、それ、まさにそうだな、金言だな、みたいな。

辻橋
社長の言われるので、すごい面白いなと思ったのは、
ドラッカーとか有名な、私も本でしか読んでないんですけど、
彼らが言うことが面白くて。
本を読んだりする中で、「あ、そうだよね」って確認をするっていう。
「俺合ってた」って確認をするというのは、
社長が今言われたことに通じるなあと。「やっぱイチローも言っとるな」みたいな。

桐井
そうそうそう、「イチローも言ってるな」って。
僕の人生っていうのは、常に30センチの定規を頭の中に入れてるんです。

辻橋
面白い表現ですね。

桐井
その定規は、一番左がゼロセンチ、一番右が30センチの定規じゃないんです。
30センチの中心がゼロで、左はマイナス15で、右端がプラスの15
合わせて30センチ。

「僕の今のものの考え方は、尺度としてはどこなんだろう」っていうのは、常に考えますよね。

辻橋
これはすごい面白い。

桐井
辻橋さんとお話しして
「それ俺、ゼロどころじゃない、マイナスのほうに振ってるな」って気付くと、
どうやればプラスに持ってけるやろうって、こうなるし。
「辻橋さん、こうやって言ってくれるから、
これはプラス10センチぐらいのとこに今、いるな」とか、
いつも尺度で測りながら生きてるんです。

辻橋
これはすごい、いい話を聞きましたわ。そういうことですね。
私、成功体験って話してましたけど、
社長も成功体験じゃないですね。フラットなんですね。本当に。

桐井
分からないんです、僕。
うちのスタッフにも言うんですけど、
結果はたまたま。うまくいっても、いかなくても、結果はたまたま。
しかし何もしないたまたまと、
プランを立てて考え抜いたときのたまたまは違うよ
と。

なぜ違うのか。
狙いがあってやったことが外れた場合、それは修正がしやすいから
何も考えずにやってみようかっていうのは、やらんほうがまし。
僕、もうひとつ思いがあって。
『“やらんよりまし”は、やらんほうがまし。
“おらんよりまし”は、おらんほうがまし
』というのが、僕なんです。

思いの乗った自分の言葉で。

辻橋
もうちょっと深掘りして、お聞きしたいんですが、
「やらんよりはやったほうがいいよね、やったほうが学びがあるよね」
っていう言い方をする人も多いじゃないですか。

桐井
多い。狙いのない「やらんよりやったほうがいい」、これ全く意味がない。
外れてもいいから、狙いだけはしっかり絞り込んでやらないと、全く意味がないだろうと。

最近すごく、僕の近くにおる管理職なんかに、よく言うんですけど、
100引く1は99って思ってるやろ、みたいな。

辻橋
思ってますね。私も思ってます。

桐井
100引く1はゼロだよ。もしくはマイナスだよ
つまり100人いて、1人がとんでもないことをしでかして、
お客さんといろんなことがあると、
そのお客さんがその人に対してマイナスイメージを抱くんじゃなくて、
うちの会社全体のマイナスイメージになってるんだよね。
だから100引く1はゼロ。

逆に、すごくお客さんに褒められ、感謝されるっていうスタッフが1人いたとしたら、
他のマイナスを、その1人は100に変えてくれるんですよね。

辻橋
それ社長、管理職さんに言われてる感じですか。

桐井
管理職がそういう、僕のマインドをみんなに言ってくれるやろうと期待して。

辻橋
でもね社長、それ、反論になるんですけど、
社長の言葉と、社長の思い乗せてじゃないと、伝わらん気がするんですよ。

桐井
僕、しゃべりへたじゃないですか。

辻橋
いやいや社長、正直、うまい、へたで言うと、うまいほうなんですけど。
うまい、へたもあるんですけど、言葉に乗ってるもの、乗ってないものあると思うんですよ。

桐井
気持ちがね。

辻橋
だから、どんなにしゃべりがうまい人でも、
社長のその言葉をうまく伝えれない可能性も高いと思っていて。

桐井
最近のブログで、スタッフブログを始めましたけど、面白かったですね。Sさん。
Sさんは非常に悩んだらしくて、上手に書こう、変なことは書けないなって。
他の会社のブログっていうのを見たんだと思いますよ。
その中から抜粋してきて、1枚。
僕はそれが、すごい気に入らんかったから、
自分の言葉で書けよ、と。コピーの貼り付けは良くないって。
書き直したら、自分の言葉で書けるようになって。
いいですよね。自分の言葉で書くっていうのは。

辻橋
それもさっきの社長の言われた、「上手にやろう」とか
「ただ取りあえずやってみる」ではなくて、
失敗でもいいから、自分で考えた狙いでちゃんと書けっていう、
社長の根本には通じるものありますね。

桐井
これは僕の一つの性格なんですけど、人の目が全く気にならないんです、僕。
人から、いい人だねとか、賢い人だねとか、
文章を書かしたら官僚並みだね(と思われたいとか)
そんなん全然思ってない。全然思わない。
僕はそこは、着地は何も考えずに、自然と生きてる人間なんです。
でもそれを、狙いを絞り過ぎて、当てよう当てようとするから無理がある。

辻橋
社長、これ、こうちゃんチャンネル作りたいですね。

「なんで?なんで?」って思いません?

桐井
僕、頭のいい人間と賢い人間は違うって、僕、思っていて。

辻橋
また金言っぽいものが出てきましたね。

桐井
頭のいい人間っていうのは高学歴者ですよ。
知識をいっぱい持って、どんなことでも答えられる。
この人は知識人で、頭のいい人。
けど、それをどうフィードバックして活用できるかといったら、また別もので。

辻橋
おっしゃるとおりですね。

桐井
僕は賢い人間っていえば、知恵人やと思うんですよ、知恵がある人。
知恵っていうのは、生活の中から生まれる知恵が、頭の中に詰まってくんですよね。
これ知恵人ですよ。
だから知識っていうのは過去のものであって、知恵っていうのは未来のものです。
僕はどっちかというと、未来をとりたいから知恵人になりたいんです。
だから失敗するっていうのはいいんです。知恵として残るから。

この話、この前言いませんでした?
僕が一回、バンコクへ行って、
チャオプラヤ川を、こんな小さい汚い観光船で行ったら、
家が川の上に並んでて、その川の上で生活をしてると。
川上の人が、川でトイレをして、その川下の隣の方が、歯磨きで口をゆすいでる。
これは本当びっくりした光景で、じっと見とったんです。

そしたらふっと気が付いたことがあって。
チャオプラヤ川って本当に汚いんですよ!
水がまっ茶っちゃで、泥水で、すごいよ、あれは。
ところがね、住んでる人は、みんな真っ白なシャツを着てる
瞬間的に「ぇえ??なんで???」と思って、
ボートの運転手に「そこで一回、止めて!」みたいな感じで。
「なんで白くなるの、この汚い水で洗って…」
「簡単」っていうの。通訳してもらってね。
たたくんやって、たたく。
たたいたら、泥が落ちるじゃない。」
僕、それクリーニング屋の原点になってますよ。

辻橋
すごいところから拾ってきますね、原点を。

桐井
たたくっていうのは、こんなにクリーニングに、いい意味での効果があるんだ。
もちろん僕が工場で、こんなたたいて、それはしませんけど、
論理的に上から落とすっていうのは、水洗いの基本ですから、生きてますよ。

辻橋
社長のもうひとつの、すごいところ、もうひとつどころじゃないんですけど、
いろんなところから、何からでも自分の栄養、糧にしようっていう、
フックだらけというか、その姿勢もすごく感じるんですよ。

桐井
「なんで?なんで?」って思いません?

辻橋
私は思うほうだと自分で思ったんですけど、足りんなと思いました。

桐井
なんでと言ったら、なんで空は青いんだろうとか、思いません?
僕、すぐ変わってるなんて言われるのが…星って丸いでしょ。
あれ、三角の星とか、四角の星とか、いろんな形の星があったら、
ものすごい世の中面白くなるのになとか。
この青が、もし黄色、空全体が黄色とか、空全体が赤やったら、
動物っていうのは違う生き物になるんだろうな、青でよかったねみたいな、思いません?

辻橋
私も社長ほどじゃないですが、私も好きなんですよ。「なんで?なんで?」っていうの。

だから、それでよく、私はコミュニケーション能力があんまり良くないせいか、
なんで?を聞き過ぎて嫌われること多かったんですよ。
「なんでなん?」私は興味で聞いてるけど、
相手は“責められてる”と、答えれないっていうところに感じたり。
だから、コミュニケーションはちゃんとせんといかんなっていうのは思いましたけどね。

<次週に続きます!>