前回のドライクリーニングの回を受けて、今回は水洗いについてのお話です。
「水洗いなら家でもできるし、クリーニング店の水洗いってなにが違うの?」と思われるかもしれません。
クリーニング店がどのようなことを気にして「水洗い」に取り組んでいるのか?そのポイントを通して、
ご家庭でのお洗濯のヒントにしていただければと思います。
硬水?軟水?きりいが日本の水を「硬水」と呼ぶ理由
次の写真をご覧ください。
クリーニングのきりいで使用している水で、家庭用洗濯機の水洗いテストをした写真です。
![](https://www.webkirii.com/wp-content/uploads/2021/08/mizuarai1.jpg)
上の画像は、洗濯開始10秒の写真です。
10秒でこれだけ洗濯水が黒くなるのは、軟水の効果によるものです。
日本の水道水は軟水と言われています。
しかし、わたしたちきりいの洗濯においては、日本の水道水でもまだまだ不純物が多い”硬水”です。
硬水での洗濯は、不純物が洗剤を”食って”しまい、洗う効果を弱めてしまうので、
洗剤をより多く使用しなければならなくなります。
軟水では洗剤の効果をダイレクトに発揮させることができるので、写真のような汚れ落ちにつながります。
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軟水の効果は、すすぎにも発揮されます。この写真は水洗いテストですすぎを開始して10秒のものですが、
10秒ですすぎ水がこれだけきれいなのも、軟水効果によるものです。
こういったことから、きりいでは、不純物を徹底的に取り去った”超軟水”を使用して洗濯しています。
これにより、洗剤量を少なくし、肌にも環境にもやさしい洗いを実現しています。
汚れが衣類に戻る”逆汚染”
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この写真でもうひとつ着目していただきたい点があります。
もし黒っぽい衣類と白い衣類が一緒に洗われていた場合、
写真のような汚れで黒くなった洗濯水が白い衣類をグレーにしてしまうといった、
汚れが衣類に戻ってしまう現象=”逆汚染”が起きてしまいます。
白い衣類は分けて洗う、というのが基本ですが、
もし「全体的に黒っぽいが、白い部分がある」というような衣類の場合は、
せっかくの白い部分がグレーぽくなってしまう、ということがご家庭ではあるのではないでしょうか。
これを防ぐには、洗剤の量を気にしなければなりません。
汚れが多い場合は、適量よりも洗剤の量を増やした方がよいでしょう。
衣類の状態をみて、適切に洗剤量を決めることが大事です。
クリーニング店にとって洗剤は、汚れを落とすだけでなく、
汚れた洗濯水が白い衣類に戻らない、といった機能も重要なのです。
水洗いの奥深さを感じた35年前の発見
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昔、バンコクのチャオプラヤ川を船で観光したことがあります。
川沿いに家が立っていて、そこに暮らす人々は川でトイレを済ませ、
その川の水で洗濯も洗顔も歯磨きもしています。川の水は真っ黒です。
その生活に驚きましたが、それ以上に驚いたのは、
人々の服の”白さ”でした。「あの真っ黒な川で洗濯しているのに、何故?」
船を止めてもらって見ていたら、
洗い終わったものを川からあげて、叩いていました。
川の水に含まれている土や不純物を叩きだすことで
洗濯物が白く仕上がる、ということなのでしょう。生活の知恵ですね。
感動と同時に水洗いって難しいものだなと感じたのが35年ほど前のこと。
そんな記憶もあり、水洗いにはこだわっています。
洗う水の温度、気にしていますか?
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普段の洗濯は常温の水で行うことが多いですね。
これで温度を上げればさらにきれい洗うことができます。
普段のお洗濯で「お風呂の水で洗うときれいになる」と感じていらっしゃる方もいるかもしれません。
これは「お風呂の水だから」ではなく、「温度の高い水で洗うから」なのです。
温かい水は汚れ落ちには適していますが、気をつけなければいけないのは、
衣類の染料が流れやすくなってしまうこと。
色移りがしやすくなってしまいますから、色物と白い衣類を分ける手間が必要です。
クリーニング店の水洗いでは温度も様々に設定して対応していますが、
ご家庭で洗濯で、温度の設定に対応している洗濯機をご利用の方は少ないのではないのでしょうか。
とくに冬場は水の温度が下がり、汚れが落ちづらくなってしまう点は注意した方がよいでしょう。
一回すすぎの洗剤は衣類の量に注意
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最近は一回すすぎの洗剤が売られていますね。
テレビCMでも言われていますが、こういった洗剤はほとんどが水で、洗剤分が少ないです。
もし洗濯機に衣類をパンパンにいれて、一回すすぎの洗剤で洗ったとしたら、
しっかり汚れを落とすとはできません。
一回すすぎの洗剤を使う場合は、衣類の適量を守らなければ、洗濯効果を期待できないでしょう。
汚れ落ちに関して言えば、ご家庭では粉石鹸で通常コースを使用するのが
一番きれいになるのではないかと思います。
柔軟剤と肌荒れ
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ソフターって「衣類を柔らかく仕上げる柔軟剤」でしょ?というのがみなさんの認識だと思います。
プロにとっては、ソフターは衣類を柔らかくするだけでなく、
phを中性にする、という点も重要な役割です。
ですのでソフターは洗濯において必要なものではあるのですが、
肌の弱い方は気をつけていただきたい点があります。
柔軟剤には若干の撥水効果が出ます。これにより衣類が汗を吸い取りづらくなり、
汗のアルカリで肌荒れしてしまう、といったことが起きます。
ソフターは少なめでも効果が得られますので、汗で肌荒れしてしまうな、という方は
ソフターの量を少なめに変えてみても良いかもしれません。
さいごに
きりいでは使用する水にはじまり、温度、洗剤、ソフターなど
各工程でこだわりを持って水洗いを行なっています。
ご家庭でのお洗濯も、気をつけられる点がありますので、見直してみてくださいね!
- 汚れが多い→洗剤も多めに!(衣類の量だけで判断しない)
- 洗う温度、色物、白い衣類の組み合わせに気をつける
- 一回すすぎの洗剤は衣類の量を適量に!
- ソフターは入れましょう(でもたくさん使わなくてOK)
次回は家庭用漂白のポイントについてお伝えしたいと思います。